垣間見るカンボジアの福祉
バッタンバンにはスーパーマーケットがいくつかできています。でも庶民の買い物の中心は、何といっても市場。私も朝ごはんのお粥を食べに、毎日のように利用しています。
そこで気になるのは、物ごいをしている人達に必ず会うことです。
片足が無く、地べたを這うように移動している人、視覚が悪そうに杖をついている人、小さい赤ちゃんを抱きながらの女性。両手を合わせて、すがる表情で行き交う買い物客にお金を無心しています。理由は分かりませんが、彼らに会う事が半年前よりも確実に多くなりました。
そんな折、PCHの子供達が歯のケアをしてもらう機会に同行しました。
カナダのNGOが年に一度、バッタンバンとその周辺の町を巡回し、恵まれない子供達の歯の治療をしているそうです。PCH2の子供達にとっても恒例だった様子。中にはその場で抜歯してもらう子もいました。
会場になったのは、‘バッタンバン盲聾唖学校’という所でした。視覚と聴覚に障害のある子供達の学校です。この学校の先生にお話を聞かせて頂きました。
1997年にスイスとフランスの援助で開校し、数年前にカンボジアの教育機関として独立したそうです。今現在約90名の小学生から高校生が、点字や手話の習得など、将来自立して生活できるよう学んでいるとのこと。寄宿舎も併設されており、保護者の送り迎えができない子供はここで共同生活をしているそうです。
私が市場で会う物ごいの人達にもこのような教育を受ける機会があれば、違う人生があったかもしれません。
そして現在でも、特に地方では、貧困から、通常の教育でさえ十分に受けられない子供達がいるのが現実です。
国の経済成長に伴い、これから先カンボジアの社会福祉や公教育が充実していくことを願うばかりです。それが未成熟な今、世界各国からの様々な支援があり、この国の子供達の成長を支えています。
高橋宏江