カンボジア百姓修行 blog22
いやいや、正直なところ、怖じ気づきました。ロカブッス村のモデルファームは、あまりにも土の状態が良くないのです。
良くないというのはまず、雨季の後だというのに、生えている草が少ない。そして土の中に、ミミズはおろか、ダンゴムシもイモムシもムカデも居ません。他の昆虫といえば、アリしか出会わないのです。恐らく土中の微生物も少ないことが想像できます。自然農ではたくさんの草や生き物の中でこそ、お互いを生かし、生かされる関係が成立し、作物も育って行くのです。
話しを聞くと、この粘土質の土壌は塩分を含み、昔は野生動物が塩を嘗めに来ていたのだとか。日本の豊かな黒土を基準にすると、うーん、ここで自然農をやるには、相当の時間がかかるぞ、と頭を抱えてしまいます。
もちろんこのような土地だからこそ、ここに生きる人達の希望になるような農場の存在に意味があるわけです。
私の狼狽とは対称的に、テラ・ルネッサンスの農業指導者、サリー先生は、この土地を活かす試みを次々と仕掛け、農場スタッフと共に現実化していきます。
サリー先生はご自分のもつ伝統的な薬草の知識と技術等を活かし、カンボジアの貧しい農村を変えて行きたいという野心に溢れた、ある意味特別な方です。

他のカンボシアの人達も、見ていると日本のように道具や資材が十分で無くても、有るものを活かし、知恵と工夫と身体を使って、協力しながら事を動かしていきます。
モデルファームではいつも、その機動力に敬服しながら作業に参加させて頂いています。







私は日本とは違う環境で自然農をやってみたい、と願って来たのに、目の前の厳しさにたじろいでいる自分が、情けなくなりました。
自然農かどうかはまた別として、サリー先生を始めとするカンボシアのテラル・ネッサンスファミリーに混じり、百姓修行中の現在です。
高橋宏江