地雷原再び

私がカンボジアの地雷原を初めて訪れたのは、10年前の事。あの時受けた感覚はずっと私の中にあり、今に繋がっています。

先日、地雷ゼロ宮崎が寄付を続けてきたイギリスに本部のあるNGO、MAG(Mains Advisery Group)の案内で、地雷撤去現場を再び訪れる機会がありました。

江角さんの講演を聴いて地雷問題に興味をもったタイの高校生や、若いテラルネスタッフ達と共に参加させて頂いたのです。

場所はコッスクラロー州。バッタンバンの町から80キロ程離れた所です。かつてジヤングルだったこの土地には、内戦の時に無数の地雷が埋められ、人が住めなくなっていました。

50年が経った今では農民達が戻ってきて、一部ではキャッサバなどの栽培をしています。

見学する前に、MAG職員による現場状況の説明を受ける

この大地を調査し、薮を切り払い、いくつものエリアに区分し、金属探知機を使って慎重に地雷の有無を確認していきます。場所によっては、訓練された地雷探知犬が活躍するそうです。

訪問当日は曇りで、直射日光に晒されることはありませんでしたが、それでも万が一の時の為に重い防弾ベストにヘルメット、長靴を着用しての見学は、地雷原に足を踏み入れる緊張も重なって、厳しいものがありました。これらを身に付けて命がけの作業を続けるMAGの職員には、どれほどの苦労があることでしょう。

見学者も万が一の事故に備え準備する

この日は1つ9人編成の班が複数活動していましたが、その半数近くは女性であることにも驚きました。

オーストラリア製の金属探知機

広大な土地に一体いくつの地雷があるのかも不明のまま、完全に安全が確認されるまで、気の遠くなるような労力と時間、経費をかけています。

戦争の、いえ、戦争を引き起こす人間の愚かさや不条理を突きつけられました。

平和で安全な世界は決して当たり前にあるものではなく、望んでつくりだすもの、意識をして守るもの、一度壊してしまうと、容易には戻らないものです。

SNSで世界中がつながり、小さな画面越しにすべてが伝えられる時代ですが、その土地に立ち、身体と五感で丸ごと受け取る現実には、言葉にすることの困難な真実がありました。

高橋宏江